2014年2月5日水曜日

イノベーションのフロントランナーの「発想力」 第1回

発想力が必要だ最近のビジネス環境では、新しい企画を練るプランナーはもちろん、職場の課題解決の場でアイディアを出したい、施策を効果的にするアイディアを考えたいなど、発想力を伸ばしたいという声が増えています。

発想力はどのように伸びるのか、どうやって発揮されるのか。アイディア溢れるクリエイティブな方々にお聞きしていきたいと思います。

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第1回 フロントランナー:ベビー用品デザイナー 土肥 正俊さん


Goodbaby Japan株式会社 General Manager 土肥 正俊さん。

ベビー用品メーカー コンビ株式会社を経て、現在は中国のベビー用品メーカーGoodbabyの海外開発センターのひとつ、Goodbaby Japanの開発責任者。ベビー用品のデザイナー&マーケターとして通算25年を超えて活躍されています。Goodbabyは世界各国の有名ブランドのOEM生産と自社のオリジナルブランドを手がけており、ベビーカーは年間約200万台も生産しています。自社ブランド製品は独自性に拘った世界初のアイディアに溢れる製品群です。

Goodbabyブランドのベビーカー ユニークなT字ハンドルを持つ T-bar


ベビー用品を使う時期は人生では一瞬でしかないけれど、育児を楽しんでもらいたい、最高の育児をしてもらいたい!という熱い思いでベビー用品をデザインする土肥さん。そんな土肥さんの考える発想力とは


想力のカギ=自分でユーザを感じる


土肥さんが手がけた代表作の1つ、コンビの「ベビーレーベル」。食器やお風呂グッズ、おまるなどがあります。

当時の主流は、アニメなどのキャラクターが満載のベビー用品。でも、お祝いとして自分から友人に贈りたいか?答えはノー。正直、あんまりセンスがよくない感じがした。手がける商品に対する違和感は、聞いてみると周囲でも同じ意見でした。キャラクター依存ではない、現在の価値観に合ったベビー用品が欲しいのでは?
ただし当時は売り場にはキャラクターを使った製品が溢れていました。ユーザはキャラクターで商品を選び、「キャラクターがついていなければ売れない」とプランナーも営業も思っていました。その中でキャラクターを外すというのは、商品の魅力をなくす、と言うも同然。そんな発想が認められるはずもありませんでした。

土肥さんは、「モノを作る」が目標になってはいけない、と言います。あくまで、ユーザがそれを使うことでハッピーになれるのかが重要と考えました。

そこで土肥さんは、ユーザの世界観を表現したコンセプトブックを作成。提案コンセプトの最上位テーマは、家族の中に赤ちゃんがいる「心地よい暮らし」。今の時代の生活者の価値観に合うものを提供していこう、という問題意識の共有を、社内でプレゼンし続けたそうです。
ポイントは、言葉や数字ではなく、画像をたくさん用意すること。インテリアや家族の生活シーンなどを“ビジュアルで感じる”こと。そしてベビー用品の現状もビジュアルで対比することで、ユーザがベビー用品に感じている違和感を、みんなで共有することができました。この問題意識プレゼン活動を半年以上続け、ようやく新しいベビー用品を考えてみようという機運が社内に生まれ、プロジェクトが始まったそうです。

ユーザの気持ちや価値観を十分にわかること、感じること。自分から遠い存在のお客様だと、それ自体とても大変なことです。ユーザの気持ちを自分も感じることで、求められる価値を感じて気づくことができる。それが発想力のカギなのですね。

ベビーレーベル ベビー食器

ベビーレーベルは2003年に発売され、グッドデザイン賞を受賞しました。何よりすごいのは、ベビーレーベルは発売から10年以上もの間デザイン変更なしで販売されていること。それは、ユーザが求めていた本質的な価値を提供できたことの証でしょう。
(注:2013年 一部マイナーチェンジや製品追加がされました




チームで共有し、チームで発想する



土肥さんは、チームでテーマ・課題共有をとても大切にされています。新しい商品を作るためにはいろんな関係者の協力が不可欠ですが、チームのテーマ・課題共有の有無により、成果を高めることもできるし、逆に商品の魅力を失わせることもあります。

ベビーレーベルのケースでも、周囲を巻き込んで共有し続けることが大切だった、と土肥さん。プロジェクトが始まってコンセプト立案〜デザインワークのときも、課題意識を共有してイメージを擦り合わせていったそうです。テーマをいかに共有し続けられるか。それは後のプロセスで課題にぶつかった時に表れます。
最終的に結果としてどんなことがユーザを幸せにするのか、どんなハッピーなのか、が大切。そのハッピーが想像できること。結果として目指すところをはっきりさせておく。開発のプロセスで課題があると、アイディアが残っても結果がずれてしまうことがあります。デザインによって誰にどんなハッピーをもたらすことができるか説明できるようにすること。それがないと、アイディアは維持して実現されたけど、誰にも喜ばれない新しいだけのモノになってしまいます。

土肥さんは「最上位の概念に何を置くかが重要」と言います。大切なのは、モノやアイディアそのものではなく、何をテーマにどんな価値を提供するのか。そのために、どう変えていくのか。みんなが方向性を共有し、同じことを考えられるか、それがチームで考える鍵であり、目指す価値を実現することにつながります。

 “個の発想力”がチーム発想力を高める



さらにチームで力を出すために、土肥さんは“個の発想”が出るようにテーマを設定するという工夫をされているそうです。絵を描く力よりアイディアを出すのが得意な人もいる。それぞれの発想が活きることが、チームの豊かさにつながります。
ユーザがどんなにハッピーになれるかを語れるアイディアを、みんなにそれぞれ出してもらう。出したアイディアをみんなで共有する場面を作り、アイディアのいいところをみんなで誉め合ったり、そのアイディアをみんなで磨いて考えたり。

Goodbabyではオランダ、アメリカ、香港にも海外開発チームがあり、みんな仲良しだそうですが、毎年1月に香港で開催されるベビー用品の国際ショーに向けては、競争だそうです。他チームから面白いアイディアが出てくる。オランダチームのデザインはユニークで面白いし、プレゼンテーションもわかりやすい。競い合う中でお互い刺激を受けて、全体としてもっといいものを目指そう、という力が働くのです。

チームでアイディアを出す方法として、個の発想力に注目するというのは面白いアプローチですね。


土肥さんは、育児は人生の貴重な経験と考えています。育児を通じて親も成長し、人生観が変わることもある。みんなにとって育児が人生の最高の経験になるよう、これからも素晴らしい発想力が発揮されることを楽しみにしています!



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